挨拶(あいさつ)小話
先日、私どもが実施する「コミュニケーション研修」でお願いした講師が「挨拶」について面白い話しをしてくれたので紹介しつつ、話を発展させてみたい。 プログラムの中ではコミュニケーションレベルの深さを説明するところで、深度1が表面的、深度2が事実関係、深度3が感情、深度4が価値観というレベルで深くなり、深くなるほど親しい関係が構築できるというものである。
講師いわく、深度1は「表面的」すなわち「挨拶レベル」というが、この「挨拶」という言葉の語源を調べてみると「挨」は「心を開く」、「拶」は「相手に近づく」ということであり、「挨拶」は「心を開いて、相手に近づく」ことだという。 これはとてもとても「表面的レベル」ではないのではないかと・・・。 ごもっともである。
私もかねがね挨拶にまつわる語源に関心を持っていた。例えば「おはようございます」は歌舞伎界に由来し、役者が楽屋に入るときに自分より早く来た役者に「私より早く来て勤勉ですね」という賞賛の言葉として使ったことに始まったと聞いた。 相手の行為をほめることで、一日の初めを、または仕事の始めを積極的にする良い言葉である。 その名残として今でも芸能界では、夜のご出勤でも「おはようございます」が通っている。
では「こんにちは」「こんばんは」はどうなのか? 不精もあって詳しく調べる時間がないのだが、「こんにちは、ご機嫌いかがですか?」「こんばんは、良い晩ですか?」など相手の様子を気遣う言葉だと聴いたことがある。 英語など欧州の言葉のほとんどは「Good Morning」に類する「Good・・・」を使っているが、「I wish you have a good morning」=あなたが良い朝を迎えていますように、という気遣いや相手の幸福を願う言葉である。
お別れするときの言葉として私が好きなのは中国語の「再見」(サイチェン)である。意味も発音も美しい。 欧州の言葉でも同じく「See you again」「See you soon」と再び会うことを願い、約束することばが多い。 日本語の「さようなら」はどんな語源なのだろう。「左様なら、それであるなら、それでは…」に続く言葉が「またお会いいたしましょう」となって欲しい。
聖心や双葉女学院では「ごきげんよう」だそうだが「今度お会いするときまで、ご機嫌よくありますように」という意図があると思う。 そうした願いもこめて私のお別れの言葉は「またお会いしましょう」にしている。 では皆様、またお会いしましょう。
(付録)ついでのウンチク:Good byeの語源はGod be with you(神があなたと共にありますように)だそうで。 (TY)
2008.02.17
>>Reserchの一覧へ