『新人早期戦略化』第1回
筆者はこれまで、こと新人の育成に関しては、研修プログラムを提供する側というよりは、各企業の育成担当者と協力し合い、入社前の事前課題・学習から、各事業部のビジネス概要の紹介、新人が行う配属先向けの自己紹介、工場見学やOJTなども含んだ、全体的なカリキュラムのデザインと、そこで必要な社内調整用の資料や各教育ベンダーへの要求事項の取りまとめに至るまでの実行支援を行ってきた。今回、HRD研究所のこのコーナーに寄稿するに当たり、そのノウハウを紙面の許す限り、余すところなくまとめていこうと考えている。
今までも、雑誌などの取材に応じて、ということもあり、そこでは、「3年目までの離職率いよいよ40%へ」などキャッチーな言葉を重ねる必要があったが、この3回のシリーズでは、HRD研究所らしく、単なる目新しい実践例や応用の利かない「自慢話」ではなく、系統立てて、論理的に話を進めていきたい。と言うことで、残念ながら今月から鞍馬君は登場しないものの、読者の皆さんに役立つ内容を分かりやすくお伝えしていくつもりである。
さて、新人育成の企画は、入社2〜5年目の若手が任されるケースも多い。あなたがマネージャーの立場なら、まず、以下の項目を担当責任者にチェックさせてみよう。(読者が育成担当責任者なら、自己チェックをしてみよう。)
これらの項目は、「○個以上なら合格」という類いのものではない。すべてチェックできることが望ましい。まだ、担当責任者が自信を持って答えられない項目があるようなら、練り直しを命じよう。これらがないと、企画側の一人よがりな押しつけの内容になったり、毎年の新人の研修に対する不満と、現場からの勝手な要望に右往左往したり、あるいは、単に研修ベンダーから売り込まれる目新しさが売りの「最近のトレンドの研修」に飛びついたりするだけのカリキュラムになりかねない。
この時、「上から与えられていない(あるいは配属先からの情報がない)からできない」では困る。なぜなら、最近の新人の「達成目標」には、“自律”という項目が含まれていることが多い。この“自律”には、正解が与えられていなければ、情報を集め、自ら「これが正解と思われる」仮説を立て、実践で検証する、ということも含まれるであろう。担当責任者からして、“自律”ができていなければ、育成などおぼつかないことは言うまでもない。
次回から、上記の3つの領域について、詳細な解説と実践例を紹介していくが、その前に参考となる情報を集める活動を実際に行うことをお勧めする。ここで、サイトのリンクを直接記すのは簡単だが、ここでは、“自律”を尊重して、google で検索するためのキーワードのみを挙げておこう。(有益な情報が得られるサイトについては、今後もこのコーナーでその内容を取り上げていくので、今回情報収集したサイトはブックマークしておくと良い。)
◆目的・目標について
[学習内容を“消化”するだけの育成期間に終わらないためにも、しっかりと考えておきたい。また、この目的・目標を育成期間中、新入社員に意識させ続けることもモーチベーションの観点からは必須事項と言える。]
・"新入社員" "意識" "調査"
》このキーワードで検索
・"新入社員の特徴" "期待"
》このキーワードで検索
・"新入社員" "教育投資" "人材像"
》このキーワードで検索
◆育成内容について
[当然、目的・目標に対し、過不足ない内容であることはもちろん、それが、配属先からの要望や新入社員の期待や不安も十分に考慮されているかどうかもポイントである。]
・"新入社員" "配属後" "不安" "声"
》このキーワードで検索
・"新入社員" "必要な知識" "調査"
》このキーワードで検索
・"新入社員研修" "妥当性" "ギャップ"
》このキーワードで検索
◆育成方法について
[アダルトラーニングの原則を踏まえるだけでなく、学生時代と学習方法を大きく変えることそのものが、学生から社会人へのマインドチェンジには有効である。]
・"成人学習理論" "学習者"
》このキーワードで検索
・"学習者の意欲" "動機" "モデル"
》このキーワードで検索
・"新入社員教育" "効果" "手法" "事例"
》このキーワードで検索
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