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ファシリテーターとフロー・デザイン
 わが社が主催する「ファシリテーション・フォーラム2」が終わった。 無事に終わったと書きたいところだが、実はそうではない。 内容面、運用面など実に多くの、しかし今後のためになる、問題が抽出されることになった。 ご参加いただいた方々や特に模擬ファシリテーションを実施していただいた方々からの貴重なフィードバックなどを参考に、ファシリテーションの大切な一面について触れてみたい。

 ファシリテーションの要素として
「Positioning⇒Input⇒Guide/Process⇒Output⇒Review」
があるが、今回の「ビジネスファシリテーション技法」では主に「Positioning」から「Guide」に焦点を当てた。 我々の経験と実績ではこの「Positioning」が取れるかどうか、また、ディスカッションなどの活動の、参加者への適切かつ明確な「Guide」が、ファシリテーションの成功・不成功を左右させる大きな要素であることがわかっているからだ。
 ここが成功すれば、多くのファシリテーターは、ワークショップのフロー・デザインどおりに進行させることで、ファシリテーションを成功へと導くことができる。
 
 デザインという言葉が出てきたので、先にこのことについて触れておこう。 通常の「研修」の世界でも、「インストラクショナル・デザイン」というものがあり、研修などのコンテンツをロジカルに、また意図に沿ってデザインすることであり、インストラクターはそのデザインに従って質問やアイコンタクトなどのインストラクション・スキルを駆使してインストラクションすればよい。 実はファシリテーションの世界でも同じことが言えるはずで、ファシリテーターも、ワークショップ・デザイナーのデザインに従ってファシリテーションをすることが必要であるといえる。

 これを理解しないとファシリテーターは、一昔前のインストラクターと同じように、ワークショップ全体に責任を持ち、何としても役に立つ答えが出るように導かなければならない、とあせりまくる結果となる。 今回のフォーラムでも、「Positioning」だけできても、「ある行動を導くためのフローを把握することができない」という声が聞かれた。 確かにファシリテーターのスキルだけではワークショップを成功に導くファシリテーション技法のすべてを語ったことにはならないが、「ある行動や判断を導くためのフローをデザインする」ことと、ファシリテーションのそのものとは別の作業であるという前提に立っていることをお断りしておきたい。

 ファシリテーターは、参加者に対してワークショップ・デザイナーがデザインしたフローのロジックを伝え、皆で考えながら回答を導き出せるように、押さえるべきポイントを押さえてゴールに導く役目なのである。 そのためのファシリテーションスキルを駆使してファシリテーションを行う役目である。

 その上で、ファシリテーションの要素別に、主に必要とされる技法を紹介したわけである。 当然一要素だけに通用するのではなく、これらの技法とまたインストラクション、いやもっと基礎のコミュニケーション・スキル、をもあらゆる場面で必要に応じて駆使してファシリテーションのセッションを成功に導く必要がある。したがって、その最初の段階としての「Positioning」の重要性は言うまでもない。

 具体的には、「Positioning」には、態度、声の調子、共感などの「安心感を与える技法」と、能力を示す、メリットを示す、その理由を示す、などの「やる気を出させる技法」がある。「Input」には、「論理的説明技法」としての、論点、因果関係、エビデンス、「例示の技法」としての、一般的事例、個人的事例、関連性を感じさせるビジネス事例などがある。 その他フォーラムでは「Guide」「Process」「Output」「Review」など各場面で使える合計14の技法を紹介した。

 今回のフォーラムでファシリテーションをつとめたわが社のファシリテーターが折角「positioning」部分でよい滑り出しをしたものの、最後になって時間オーバーという大課題を残してしまった。 まさに、「ファシリテーションの成功は、フロー・デザイン全体の運営にかかっており、一部をうまくこなしても、全体を成功させることにはつながらない」ことを、身をもって証明することになった。 これが結果として、今回のフォーラムにご参加いただいた多くの方々にご迷惑をおかけすることになったとともに、わが社のPositioningすら脅かす結果となってしまった。 猛反省であるが、反面良い勉強にもなった。 失敗から学ぶ、という方針で行きたいので、ご迷惑をおかけした皆さまには寛大なお許しを願いたい。
2007.07.28

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