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「〜シップ(Ship)」とは「器の大きさ」ではないか?
 最近、リーダーシップの研修で当社の開発部門が新たに制作したディスカバリー部分(つかみ)で面白いテーマを扱った。 リーダーとしての好ましい言動を考えるパートであったが、リーダーシップ(Leadership)に引っ掛けて船(Ship)の特徴を挙げてみることから始まった。 舟(手漕ぎボート・Boat)との違いも参考にしていたが、曰く、船長がいる、客や荷物を目的地まで運ぶ、キャビン(船室)がある、キャビンアテンダント(客室係)がいる、動力がある、などなど。 その中からリーダーシップにかかわる特質を考えてゆくのである。

 そういえば、これまでリーダーシップを初めとして、フレンドシップ、パートナーシップ、フォローワーシップ、スポーツマンシップなど気軽に使っていながら、共通するシップ(ship)の意味や関係をあまり考えていなかったように思う。 早速辞書を引けば「状態, 身分, 官職, 関係, 能力,術」の意.と出てきたが、これではただ「リーダーとしての能力」「友人としての関係」「パートナーとしての術」などの後ろの部分を挙げただけではないか。

 再び話は船に戻るが、船の役割(ミッション)を「貨客を安全、安心に目的地に届ける」と定義した場合、その要素を考えてみることが容易になる。 船長の船員に対する指示命令の仕方、客室担当(キャビンアテンダント)の接客態度、機関室員や操舵室員の技術など考えられるが、最も分かりやすかったのが「船の安心感、安定感を左右する排水量(器)の大きさ」ではないか、という切り口である。

 リーダーのミッションを「メンバーが安全、安心に仕事の目的を達成できるように支援する」と定義して「安心感、安定感を左右する器の大きさを感じさせるリーダーの言動」を考えてみると、多くの好ましい要素が抽出されることが分かった。 5人の5グループで10分間考えてもらっただけでもそれぞれで10個以上合計でも30以上の異なった特質が出てきたのである。

 「器の大きさを感じさせる言動」で代表的なものは次のようである。
・本人が忙しいのに他人の心配をする (周りを気遣う)  
・人の嫌がることを率先して引き受ける
・まずは全てを受入れ、その後良く考えて答えを出す   
・身近な人から信頼される
・雰囲気が穏やか、感情の起伏が少ない         
・人の良い点を見つけることが上手
・タイミングよく決断して、責任は自分がとる        
・人が自然に集まる、人脈が広い
・自分の苦労や大変さをむやみやたらにアピールしない  
・自分の手柄を他人に譲れる
・褒める、指摘・指導する、の両面にメリハリを持っている  
・感謝の気持ちを示せる
・楽観的でユーモアがあり、分かる    
・どこを切っても同じ、相手によって裏表が無い
・自分の長所・短所を知っている     
・付け入る隙を表し、鎧(よろい)冑(かぶと)を着ていない
・お金に固執しない、上手に使える   
・自分や他人の健康管理に気を使い、身だしなみが良い
 
一方「器が小さいなと感じさせる言動」としては、上記の逆になるかもしれないが少しだけ挙げてみると、ビシバシと感じることが多い。
・人の粗探しをして、それを得意げに話す    
・感情にまかせた行動・発言をする
・間違ったことを指摘されると言い訳けが先に出る  
・嫌なことがあるといつまでも引きずる
・自分に甘く、他人に厳しい  
・自己中心的である(自分優先)   
・揚げ足を取る
・他人の成功を喜べない    
・他人の失敗を許さない   
・相手によって態度が変化する
・部下の成果を自分の成果にする  
・他人の話を漁り、自分の得意分野に引き込んでしまう 等。

 さてリーダーシップ研修については、ご興味があればお問い合わせいただきたいところではあるが、このコラムでの問題は「〜ship」である。 上記では「その目的・役割を達成するための器の大きさを感じさせる要素」として考えることにより、何かが見えてくることを提唱してみたつもりである。 すなわち「フレンドシップ」であれば「友人としての役割を果たすための器の大きさを感じさせる要素は何か」、「スポーツマンシップ」であれば「スポーツマンとしての役割を果たすための器の大きさを感じさせる要素は何か」という切り口である。 何が見えるであろうか、是非お試しあれ。

 とはいえ、今日もメンバーが来たらどのように「器」の大きさを示したらよいか、楽しみでもあり、努力の必要もあり・・・フーッ
2007.06.10

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