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HRD研究所は2012年からHPIに取り組みます
 最近企業内の人材開発に取り組んでいる方々の間で話題になっている言葉としてHPI(Human Performance Improvement)があります。HRD研究所も長年企業内の人材開発部門のお手伝いをしてきて、現在取り組むべき最も重要なテーマとして、このHPIを挙げることにしました。

 HPIとは、従来のエデュケーション/トレーニング(教育/訓練)だけでは難しかった「ビジネス成果に着実に結びつく人材開発」への取り組みのことです。

 米国においては1990年代から、ATSD(*1)ではROTHWELL William J. 教授(ペンシルバニア州立大・社会人教育)を中心に、様々な取り組みが発表されはじめました。現在ではグローバルな人材育成のスタンダードな考え方になっている「CPLP」(*2)と言う資格はHPIの考え方に基づき構成され、人材開発のプロフェッショナルを証明するグローバルな資格であるため ASTD日本支局では日本企業においても積極的に導入するように推進しています。

  (*1)ASTD: American Society for Training & Development
  (*2)CPLP: Certified Professional in Learning and Performance Certification

 HPIを理解するために、教育/訓練とHPIのスタンスの違いを比較してみると分かりやすいかもしれません。

 教育/訓練のスタンスは「何を教えるか」に焦点を当てており、学んだ受講生が自分の業務と結びつけるかどうかは個人任せになっています。また教育訓練の成功・不成功は講師と受講生に大きく依存するため、評価の仕方に大変苦心するものです。

 一方HPIでは「どんな成果を期待するか」に焦点があてられ、人材開発のために実施される様々な施策(インターベンション)と業務との結び付けが最重要視されており、また組織全体への影響を考慮するものです。

 業務に結びついた成果を生み出す要素(変数)の例としては、もちろん(教育プログラムの)コンテンツや講師/教材も重要ではありますが、要素(変数)の一つでしかありません。一連の人材開発の取り組みと業務との関連性を明確にし、企画・運営者からのメッセージング(内容や伝え方)を考慮します。
 
 また、インセンティブを含めた人事制度を考慮したり、組織(上司)の関わり度合いなどが業務に結び付いた成果に影響を与えるなど 多岐にわたります。

 それらの施策の対象(人や組織)が示す成果に結びつく言動(パフォーマンス)としては、例えば、これまでは形式的なレポートしか出してこなかったのが、きちんとしたエビデンスを付けてくるようになったなど実行計画の精度が向上します。

 さらには、実行スピードと精度の両方が向上する、時間管理が改善される、課題の発見と問題解決行動が的確に取れるようになるなど、実際的な言動がとれることが定義されなければなりません。

【参考】 
HPIに関して基礎的な理解は、ASTDが発行する「HPIの基本〜業績向上に貢献する人材開発のためのヒューマン・パフォーマンス・インプルーブメント〜」ジョー・ウィルモア(著)、中原孝子(訳) ヒューマンバリュー出版の購読を推奨します。

 日本でHPIの導入が進んでいる背景としては、だれもが認識しているように、グローバル競争激化というビジネス環境があります。

 いまどの企業でも国際的なビジネス環境に通用する人材を必要としています。一方で、日本国内では人材の人件費が高止まりしているため、高付加価値を生み出せる人材を確保または育成することが大命題でもあります。

 人材開発投資の回収、ビジネス価値への転換へのプレッシャーも相当大きいものがあります。海外、特に米国に本社を持つ企業や、一部の日本企業でも、この高付加価値を生み出す人材育成に取り組んで成功事例を生み出している企業もあり、HPIに本気で取り組む企業が増えてきています。

 幸いにも当研究所は、創業以来クライアント企業の教育訓練だけでなく、人材開発のあらゆる分野のコンサルティング、例えばWAYの構築から推進、目標管理を含む人事制度の構築と推進、各種アセスメントの設計と実施、キャリアカウンセリング室の立ち上げと運営、従業員のパフォーマンス向上を目的とした各種イベントの企画・運営などをお手伝いして数多くの実績を上げてきました。

 そうした人材開発にかかわる総合的な見識とコンサルティング能力を必要とする環境が整ってきましたため、その一環として2011年は「HRDコンピテンシー」という研究テーマを実施して有益なデータ収集と分析に基づくコンサルティングを実施して多くの反響をいただきました。

 2012年は「HRDコンピテンシー」の研究を引き続き実施すると同時に、これと関連を保ちながら「HPI」の分野でも研究活動を展開してゆくことで、一層総合的な人材開発コンサルティング企業として見識を深め、クライアント企業にお役にたつことと確信しております。

 「HRDコンピテンシー」同様、クライアント企業の協力を得て、パイロット調査やセミナーを展開して様々なデータの取得を行ってゆくつもりでありますため、昨年同様絶大なるご協力をお願いいたします。なお、既に実施している説明会やセミナー等もありますので、本ホームページの「セミナー」欄をご参照ください。

 また2011年の研究テーマ「HRDコンピテンシー」のバーチャル企業導入版ともいえる「人材開発への愛を見せろ!」と題したコラムを日経BP社のBPオンラインに連載で提供していますので是非ご覧ください。

【安田】
2012.02.22

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