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第21回 (2007年6月20日)「女性社員のキャリア・デザイン研修」報告
 今回のテーマは、「女性社員のキャリア・デザイン研修」でした。
 近年、企業は女性社員の活用による会社の活性化を図っており、「アシスタント的な業務を行う」と位置付けてきた女性社員(以下「女性社員」)に対しても自律/立を求め、この研修のニーズは高まっています。果たしてどのようにすればその効果を期待できるのでしょうか?
 
 今回の研究会は、課題提供者である渡商会の人材開発部長 野田和子さんを発表者として迎え、「女性社員のキャリア・デザイン研修」を成功に導くポイントについて、ご自身の
1「企業内人材開発担当者」
2「キャリア・カウンセラーとしてキャリア・デザイン研修の講師」
3「一般職からキャリアを積み上げてきた女性社員」
この3つの視点から発表があり、その後参加者によるディスカッションで更に考察を深めました。
 
 まず、キャリア・デザインの考え方と年代別テーマについて確認したあと、「女性社員への会社からの期待役割の変遷」について発表がありました。変遷のターニングポイントになったのは、「1985年の男女雇用機会均等法」、「1999年の改正雇用機会均等法、構造不況・少子化・07年問題」の2つです。
 そもそも「女性社員=一般職=定例的業務」であったものが、このターニングポイントにより、「総合職=基幹的業務、企画立案、対外折衝、総合的判断業務」が誕生し、更に「定例的業務=契約社員」と移行し、一般職の女性社員は「定例的業務からの“チャレンジ”」を要求されているという変遷です。
 従って、「女性社員のキャリア・デザイン研修」の成功の素は、一言で言えばこの女性社員の心理と心理タイプを如何に整理し理解しておくかにあります。キャリアのテーマもこれまでの年代別に加えて、「女性社員」というカテゴリーを加える必要性が見えてきます。
 そして、研修を成功に導くポイントは3つ。「会社」・「研修の内容」・「上司」。それぞれがすべきことを行い、これらを如何に組み合わせるか、がポイントです。
 研修の効果として、発表者からは「女性社員のキャリア・デザイン研修」の事例から、受講者と上司の意識変化と、研修後に見られた変化の2点が披露されました。以下に一部をご紹介します。


〔受講者の意識変化: アンケートから〕
・「自分のためにもキャリアアップは必要であり、きちんとした戦略思考をもって実行していきたい」
・「教育してくれない、日々の仕事量が多いから。。。と思ってきましたが、自分でスキルアップしなくてはならないということが改めてわかりました」
・「一番強く思ったことは“諦めたらダメだ”ということでした。“諦めたら楽だ”と思いだしていた自分に気付きました」、等々


〔上司アンケート〕
・「自分を改めて知り、実行して行こうという意思が非常に感じ取られ、今回の研修での意識改革を感じます」
・「会社においては、女子社員のキャリアアップを自己研鑽の範疇にとどめず、会社制度の中でその実現ができるようシステム作りを御願いしたい」
・「今後もこのような研修を継続してもらいたい」
〔研修後の変化〕
・新しい仕事にチャレンジしだした(担当業務関連の社内研修講師、会社説明会で学生に会社説明、総合職に職系変更、現場見学の申し出、等々)
・社内研修や通信教育の受講者が増加した
・仕事への責任感やプロ意識の芽生え(残業を厭わず、会議での積極的な発言)

 参加者によるディスカッションでは、「女性社員のキャリア・デザインの意味がよくわかった」、「キャリア・デザイン研修の効果を改めて感じた」、更に「男性社員でもモチベーションが低い社員について研修で同じように高い効果が得られるのではないか」、など積極的に意見交換がなされました。


 次回は7月18日で、「 知的財産権の基礎と活用 − 著作権・商標を人材開発分野で活用するために」がテーマです。担当は、メキキ・クリエイツ 粕川敏夫氏です。ご期待ください。

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