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「勿体をつける」
 久しぶりに言葉に対するこだわりを行ってみたい。今回は「勿体」である。
表題のように「勿体をつける」「勿体無い」などに用いられているが、この「勿体」とは何だろうか?

 いくつかの辞書を引くと、語源は「物体」。「ぶつ、もつ」プラス「たい、てい」。即ち、「もの」の「てい」イコール「モノのあるべき姿」「本来のありよう」「存在理由」と説明している。「勿体ない」は、本来の使われ方をしないために、価値が半減したり、失われたりしているさまを表現している。「勿体をつける」は、本来のありようを明確に示すことにより、相手に注意を喚起することである。

 「モノのあるべき姿」「本来のありよう」「存在理由」「本来の使われ方」といえば別の呼び方は「目的」である。企業内教育の世界ではこの「目的」という言葉がいかに大切か、終始議論されたりコメントされたりしている。多くのビジネスマンがこの「目的」が明確に定義されないままに行動しているからである。目標を立て、行動計画を作り、順調に行動しているかにみえるが、途中でぱたっと行き詰るのは、「何のために」という「目的」が明確に定義されていないことが原因であることが多い。

 その仕事は何のためにやるのか。企業目的を論じる場合「利益を生み出すため」なのか?もっと崇高な目的ではないのか?地域社会の文化発展のため…。人類社会の発展に寄与する。などと一度は論じておくべきである。どんな行動にも目的がある。我々は何のために仕事をするのか。何のために生きているのか。たまには、そこまで「勿体をつける」のも大事ではないだろうか。それでないと限られた人生という時間を無駄に使うことになって実に「勿体ない」ことになる。

 今回は「勿体」という言葉にこだわってみたが、言葉の本来の意味を知らずに使っていたり、間違って使っていたりする場合も多い。少なくとも耳慣れない言葉を聞いたら「なんでそういうのだろう」と調べてみるのも面白い。せっかく昔の人が一生懸命考えて作った言葉を無駄にしたら、それこそ「勿体ない」ですよ。

【安田】
2011.09.15

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