サービス セミナー 研究サロン 事例集 企業情報
アサーション
■ アサーションとは
 アサーション(assertion)の訳は、「自己表現」である。アサーションとは、他者とのより良い人間関係をつくるための、コミュニケーションにおける自己表現のあり方を示すものである。
 私たちは、相手とのより良い人間関係をつくっていきたいと思っても、自分の言いたいことを言えなかったり、言わなくてもいいことをつい言ってしまったりと、自分の意志をうまく表現できずに、お互いの関係がしっくりいかなくなったり、場合によってはいがみ合うというようなことにもなることがある。
 アサーションは、お互いの良い関係を維持し、さらに信頼を高めていくための心がけのヒントであるが、どのような場合でも効果がある、あるいはどのような関係でも修復できる、といった万能のものではない。
 アサーションを身につけるということは、これまでのコミュニケーション力に加えて、さまざまなコミュニケーションに対応するための引き出しを増やすことである。そのことから、相手や状況に合わせて対応できる範囲が広がる。

■ コミュニケーションの言動
・コミュニケーションのおける言動(発言・行動)の決定

・アサーションは、「感情・判断」と、その結果としての「言動」を自分の意志の通りにすること
アサーションは、相手の言動を受け止め、自分の意図通りの言動を行うスキルである。

■ アサーションの内容
自分の意図しない不適切な言動
攻撃…つい、カッとなったり、人に食ってかかるような態度をしてしまう。
作為…遠回しや皮肉で相手への怒りを表し、あとで仕返ししたりしてしまう。
受身…遠慮して言い出せなかったり、断れなかったりしてしまう。

■アサーティブでない例とアサーティブな例
状況…ご主人は夜遅くなって帰宅したが、遅くなることの連絡が無かったため、奥さんは夕飯を用意して待っていた。そこへご主人が帰宅し、テーブルの上の料理に気が付き、言った。
「あっ、ごめん。夕食はすませてきちゃったんだ。」
× 【奥さんの攻撃的な言動】「あなたはいつもそうよね。連絡しないのは今日だけじゃないし。だいたい自分の都合しか考えていないんだから。少しは、夕飯をつくる私の身にもなってよ。あなたはいつもそうなのよ。この前も、買物を頼んだのに、忘れた、の一言すませたでしょ。まったく、あなたの頭の中には家族のことなんて何もないのよ。どうするのよ、この料理は!」
【奥さんの作為的な言動】「あら、そうなの。私は自分が待っていたから言うんじゃないけど、電話1本くれれば、一人分ムダにしなくて済んだのにね。せっかくあなたの好物のハンバーグにしたのに、どうしましょ。まぁ。私が明日の昼食にすればいいのよね。まあ!こんなに冷めちゃって!」
【奥さんの受身的な言動】「そう。・・・」(心の中では、)『それなら、電話を欲しかった。あなたを帰りを待って食べようと、私もまだ食べていないのに。でも、こんなこと言うと、この人は怒るだろうし、嫌われるかも知れない。何も言えない。私ががまんさえすればいいんだわ。』
【奥さんのアサーティブな言動】「あら、食べてきたの。あなたと一緒に食べようと思って、ずっと待っていたのよ。がっかりだわ。電話さえしてくれれば、こんな思いをせずに済んだのに。今度からちゃんと連絡してね。」

■アサーティブになるためのポイント
・自分の気持ちは、言葉にして表さないと伝わらない。
・攻撃的な態度やいやみ・皮肉は、相手の同じ態度を引き出してしまう。
・ウソやいいかげんなことを言えば、信頼関係が崩れ、信用されなくなる。
・問題になっている事柄以外のことを持ち出すと、相手も感情的になる。

アサーティブとは、「私は〜だと感じる(思う)」ということを、率直に伝えることである。相手に自分の考えを伝えようとするときに、「私(自分)」を主語にすることが大事であり、自分以外、たとえば他の人や、常識などを主語にすると、相手に誤解を与えてしまう。

状況…あなたは、喫茶店で、つい携帯電話を使ってしまった。そうすると、隣にいた客があなたに注意した。
× 【他の人を主語にする注意】「きみ、携帯電話はいいかげんにしなさい。私はかまわないが、周りの人たちが迷惑する。」
【常識を主語にする注意】「きみ、携帯電話は止めなさい。私はかまわないが、携帯電話禁止は常識だろ。」
【私を主語にする注意】「きみ、携帯電話を止めてくれないかな。うるさくて、落ち着けないんだ。」

■アサーションの4つの柱
相手との信頼関係を保ちながら、自分の思ったことを、自分の本来の意志の通りに、相手に伝えていくために必要な4つの柱がある。
  1. 誠実:ウソ偽りが無い、正直に心をこめた態度
  2. 率直:遠まわしやくどくどせず、シンプルに話す
  3. 対等:人としての上下が無い
  4. 自己責任:自分の言動は自分で判断し、人の言いなりになったり、人のせいにしない

■「私はダメだ」の思い
私はダメだ。どうせできない」と思いこんでいるときは、行動もそのようになってしまう。まわりの人に流されたり、自分の考えやしたいことがあっても言い出せなかったり、つい心にもないことを言ってしまったりする、などである。そうすると周囲からは「あの人ってどうせダメだから」と思われ、それが自分に返ってきて、「やっぱり私はダメなんだ」という悲しい思いがますますふくらむ。これをくりかえすうちに、自分がどんどんきらいになったり、すっかり自信をなくしてしまうのである。
 そこで、行動を変えてみると、自分に対する気持ちも変わる。相手と対等に向き合って、自分の思っていることを率直に言葉にすると、周りの人たちも好意を感じ、それが返ってくる。すると「私はダメじゃないかもしれない、私はできたんだから」という気持ちになってきて、これをくりかえすことで、「私はちゃんとやっていける」「私もなかなかいいじゃないか」と感じられるようになる。自分を受け入れて、自分を大切にできれば、人とのつながりを育てることができ、相手を大切にできるようになる。それによって、自分も相手から大切にされるようになる。

■ アサーションの活用
他人とのコミュニケーションでは、時として「言いにくい」ことを伝える必要性も生じる。仕事をするうえでも、上司と部下、同僚同士で、相手の心証を害する可能性が高いことを言わなくてはいけない場面が多々ある。年功序列が前提で、上意下達型のコミュニケーションが主流だった従来の日本企業に比べ、「自分より年上の部下がいる」「プロジェクト型組織で指揮命令形態がはっきりしない」など複雑さが増した今日の企業組織では、コミュニケーションがより難しくなってきている。

>>Reserchの一覧へ