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研修の評価
 一般的に使われている評価モデルとしては、カークパトリックの4段階評価、それの第5段階として加えられたジャック・フィリップスのROIなどがある、最近はGE社のなどが採用しているSix Sigma、バランス・スコアカードなどもある。

1.カークパトリックの4段階評価モデル

 ドナルド・カークパトリックにより1960年に開発されたものでASTDによって発表された。その後、30年たった今日でも、研修の成果を測定するモデルとして、最も広く研修業界で利用されている。

Level1-Reaction-
 参加者のコースへの満足度を測定し評価する。この評価方法は、企業研修では、最もやり易いという理由で、一番多く使われている方法である。たいていはコースの終了後のアンケートを配って記入させる。最近はeラーニングや、それ以外の研修でもオンラインでアンケートを回収する方法も採用されている。評価項目は研修の目的や実施方法によって異なるが、概ね研修の内容、講師の質、他の参加者からの影響度合い、研修施設への評価などに対する満足度を測るものが多い。セミナー終了後にすぐに取れるため簡単で正確な評価が得られるが、研修自体の結果に結びついているかどうかの評価は得られない。

Level2-Learning-
 コースを受講して、知識、スキが向上したか、行動様式が変わったかを評価する。一般的に学習による変化は、事前と事後の評価、ロールプレイやケーススタディの観察、テスト等で講師や参加者同士で評価する。この評価はコース実施中またはコース終了後に実施するため、新しい知識、スキルが習得されているかどうかを判断できるが、コース終了後仕事の現場で再現したり応用したりするかどうかの保障はない。

Level3-Behavior-
 学習したことを実際に行動に移すことができたかという参加者の真の変化を測定して評価する。これは、参加者の実際の仕事でのパフォーマンスを観察することにより測定する。「行動スコアカード」とよばれる評価アンケートを使ったりして、研修終了後3ヶ月から6ヶ月に職場の上司や同僚、顧客にアンケートを依頼して評価する。場合によっては本人自身の評価を加えることもできる。優れた評価をするためには、行動の変化だけではなく、変化できない要因などもとることが必要となる。評価項目の作成、評価者の訓練、時間やエネルギーなどをかける必要から、Level-1,2よりも実施は困難となる。

Level4-Business Results-
 学習した知識やスキルが実際のビジネスの場面に活かされたかの結果を評価する。評価項目はスポンサー(経営者)の研修に対する期待する目標によって異なるが、たとえば売上や利益、顧客満足度、生産性等が向上したかを測定して評価する。この評価は、スポンサーに対して大変説得力を加えることが出来るが、研修で得られたことと関係のない要因(いわゆる神風が吹いた等)も加わった結果であること、つまり研修の効果が正確に反映されていないこともあることを了承しておかなければならない。

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2.ジャック・フィリップスのROI

 カークパトリックの4つのレベルにROIを追加して、レベル5として知られている。

Level5-ROI=Return on Investment-
 研修のコストに対して得られた利益を計算して評価する。研修のコストの中には直接的なコストとして講師料、教材費、会場費などを算出するが、その他に開発費、企画・運営部門のコスト、更には参加者の機会損失などを加える企業もある。一方得られた利益には直接的な売上高、利益高、生産性指標などを算出することもあるし、コンピテンシー、能力の向上を測定して金額に置き換えている企業もある。これらの数値を算出するためには高度な技術を要するため、重要かつ限られた研修にのみ適用する企業が多い。

 主な評価モデルを紹介したが、これらはすべての研修に採用するのではなく、研修ごとに評価レベルを決める必要がある。米国の主要100社の調査においてもLevel-1は100%(すべての研修に)採用しているが、それぞれLebel-2は60%、Level-3は30%、Level-4は10%、Level-5は5%の研修に採用しているという報告がある。(2003年―Jack J. Phillips、PhD)

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